人と環境に恵まれたこの平戸で、
農業の新たな可能性を
生み出していきたいです。
イチゴ農家
平山 幹夫
Mikio Hirayama
本誌(31ページ・後出)でも紹介した平山さん。あれから六年、もはや新人就農者の枠を優に超え、今や平戸市の次世代農業を背負うキーマンの一人だ。
幼少の頃から実家のイチゴ農家を見て・手伝ってきて、農業に「儲からない」「きつい」イメージが強かったために実家を継ぐことなく、大学卒業後は約16年間のサラリーマン生活を過ごす。
しかし、休みや給料は安定しているものの何事も自分で決められない仕事にわだかまりを抱え続け、次第に自分の思うようにやりたい・経営をしてみたい想いが募り、ついに実家の農業を継ぐ決心をした。
松元さんの下に一年間就き、しっかりと基礎を学んだ後、晴れて独立することに。イチゴ作りにおいては長年の経験から特段予想外なことはないものの、経営となると話は別だ。単に高品質な商品を作るだけでなく、常に収支バランスを考え、物価高騰などの不可抗力にも対応しなければならず、時には失敗して弱音を吐きたくなることも。それでも、これも自分の決めた道だと言い聞かせ、松元さんや諸先輩方に相談しながらも何度となく苦難を乗り越えている。
近年、農業もⅠTの導入が進み、イチゴハウスの環境制御機器によって経験の浅い農家でも平均的な収穫が可能となってきた。とはいえ、トップレベルの収穫を目指すとなれば、そこは経験・感覚が物を言う。実際、平山さんも使いこなすまでに三年はかかったが、収穫量を上げ、新規の売り先開拓の上でも大きな成果を上げそうだ。更に営業畑で鍛えたセールス力も備え前途洋々である。加えて、これまで観光関係に従事してきた奥様が本格的に参入することになり、「農業×観光」の実践という新たな目標も始動していく。
平戸農業の未来への扉がまた一つ増え、ここにもう開き始めている。
自信を持って出しているイチゴは関東・関西に出荷されて、お客様が食べているところを直接は見れないけど、おいしく食べてもらっているんだろうなと想像しながら作るのは、やっぱり楽しいです。モチベーションになっています。
天候や気象状況に左右されることが一番ですね。経営に関しては昨今の円安や物価高騰で経費が上がる一方で、自分たちが希望とする金額程売値が上がらない。そこのギャップが今は一番厳しいです。いずれ解決されると思いますが。
ずっと営業職を経験してきたので販売は大丈夫ですが、加工に関してはプロに任せた方がいいと思っています。手を広げて投資してしっかりとペイできればいいんですけどね。
とりあえずは売り先を見つけて確実に独自ルートを作る方が先かなと。それよりも今は、ずっと観光関係に従事してきた妻が主導となって、アグリツーリズム的な展開を構想中です。
平戸は気候も良く、農業がしやすいようなシステム・体制がきちっと整っています。不安も多いとは思いますが、先輩農家さんたちは非常に優しいし、色んな事を相談できます。
真面目でやる気のある方には全面的に協力してくれるはずです。一緒に頑張りましょう!